最高のピノ・ノワールを作るというヴィジョンのもと、1995年にマック&リル・マクドナルド夫婦によりソノマに設立されました。初ヴィンテージは1997年カリフォルニアの当たり年。マリン・カウンティーのチレノ・ヴァレーのぶどうを使ったピノ・ノワールでした。それ以降、ピノ・ノワールに優れたソノマ、マリン、モントレー、メンドシーノという4つのカウンティーから選りすぐったブドウを使って素晴らしいワインを造り続けています。
ブドウはすべて契約農家から買い取っていますが、マクドナルドはひとつひとつのヴィンヤードのマネージャーたちと、剪定から収穫まで一緒になって働き、自分が求めるブドウを自らの手で育てています。カルト・ピノで有名なゲイリー・ピゾーニ、ゲイリー・フランジオーニの両氏からもブドウを供給してもらっていますが、ピゾーニ氏は本当に信頼するワイナリーにしかブドウを売らず、少しでもワインの品質が落ちると翌年はそのワイナリーにはブドウを供給しないというこだわりの持ち主。マクドナルドはそのピゾー二氏から1999年以来ずっとブドウの供給を受け、最高のピノ・ノワールを造り続けています。
最高のピノ・ノワールを求めて
マクドナルドの素材へのこだわりは父譲り。彼の父・スーはテキサス・ムーンシャイン・メーカー(自家製ウイスキー)の中で一番の「グレーンウイスキー(バーボン)」の造り手と言われる人物でした。父のこだわりは「最高の素材だけを使うこと」。そのこだわりは息子・マクドナルドへと受け継がれ、彼は最高のブドウを求めて現在でもカリフォルニア中を走り回っています。
マクドナルドは「ワインは飲む人ひとりひとりが自分の舌で評価すべきであり、数人の個人的な意見で決められる評価や点数で左右されるべきことではない」と考えています。そのためコンベンション的なものにはほとんど出品していません。それでも「ワインスペクテーター」誌ではコンスタントに90点以上を獲得、パーカーやタンザーなど世界的に有名なワイン評論家からも高い評価を受けています。
マクドナルドはワインを造るだけではなく、アフリカン・アメリカンのコミュニティーがもっとワインに親しむようにと〈アフリカン・アメリカン・ヴィントナーズ・アソシエーション〉を設立、現在は会長を勤めています。全米に1000以上あるワイナリーの中でアフリカン・アメリカンがワインメーカーやオーナーを勤めるワイナリーはたった7つ。将来その数がもっと増えるようにと、後輩の指導にあたっています。
マクドナルドがワインに開眼したのは1965年に口にしたブルゴーニュワインがきっかけ。いつか「最高のピノ・ノワールを造る」という事を神に誓ってから30年…そのヴィジョンが現実になり、ワイナリーを設立。マクドナルドの強固なヴィジョンにちなんで妻・リルが命名した〈ヴィジョン・セラーズ〉は、これからも大きなヴィジョンのもと最高のピノ・ノワールを造り続けていくことでしょう。
マクドナルドは言います。「テキサスに住んでいた頃、黒人だという理由で入る事の許されなかったレストランがあった。白いテーブルクロスがかかっていて、みんながお洒落していく高級な店。いつかそこで食事をするのが夢だったけど、今ではそのレストランが僕の造ったワインを置いてくれている。人生っておもしろいと思うよ。」