優れたワインと優れた葡萄を生み出す
設立は2002年、2000年がファースト・ヴィンテージという新しいワイナリー。現オーナーのジャスティン・スミスの父であるジェームス・ベリー・スミスが1980年に土地を購入し、葡萄を植えたのがこのワイナリーの原点。現在の《ジェームズ・ベリー・ヴィンヤード》の始まりです。今でこそ《ジェームズ・ベリー・ヴィンヤード》はカリフォルニア有数のローヌ品種の一等畑ですが、当時はシャルドネとピノ・ブランを植えていました。1987年、ジェームスはエドナ・ヴァレーの葡萄栽培家であるジョン・アルバンにローヌ品種を植えることを勧められます。試験的にシラー、ムールヴェドル、グルナッシュを数本づつ植えてみましたが、その出来があまりにも素晴らしかったため、1989年にはピノ・ブランの全てとシャルドネの大半の畑をローヌの赤品種に切り換えました。今では、75エーカーの畑のうち55エーカーをローヌ赤品種が占めています。
《ジェームズ・ベリー・ヴィンヤード》ではその土地本来の自然を尊重する《保全型農業》を徹底しており、殺虫剤や除草剤を一切使用せず、ブドウの栽培から収穫まで全て手作業で行っています。
土壌は薄い岩の上にまた薄い岩が重なっているような険しい環境(サクソンはラテン語で「大きな石」の意)。しかしその表面は硬くても、地中は葡萄の根が伸びることができる程度の柔らかさなので、根は地中深く長く張っています。岩の多い石灰質土壌、急な山腹、吹き付ける冷たい潮風というこの畑のきびしい環境が葡萄の味を凝縮させ、その葡萄が濃密なワインを生み出すのです。平均収穫量は1エーカーあたり2トンとかなり少量に抑えていますが、その葡萄は近隣のワイナリーから熱望されるほど素晴らしいものです。
パーカーポイント100点を獲得!
サクソンのワインは《ブロークン・ストーンズ》 《ハートストーン》 《ジェームス・ベリー》 《ブッカー》《ロケット・ブロック》《ボーン・ロック》 という6つのキュヴェ(=特別なワイン)をあわせて年間2200〜2800ケースという少量生産。そのいずれもが最高の評価を受けています。
これらのワインを生み出している現オーナーのジャスティン・スミスは、若くしてワイン専門誌『ワイン・スペクテイター』で「全米最高峰のシラーの使い手」と評されるほどの優れたワインメーカー。
学生時代すでに友人とワイナリーを設立し、栽培家として活躍していましたが、そのワインが評判になると、自ら醸造をしてみたいと2002年に自身のワイナリー《サクソン》を立ち上げました。父親が所有する 《ジェームズ・ベリー・ヴィンヤード》の葡萄を主としたジャスティンのローヌ・ブレンドは高い評価を獲得、さらに《サクソン・ヴィンヤード》の葡萄を使うワイナリーも次々に傑作を生み出しました。
サクソンのワインはいずれもパーカーポイント90点台という驚異的な品質の高さを誇り、2009年にはついにパーカーポイント100点を獲得。今後がさらに期待されています。