テイスティング・コーディネーターだったウェルス・ガスリーと、エンジニア出身のケヴィン・マックオンが1999年に設立したワイナリー。非常に洗練された素晴らしいワインを作り出すことで知られています。
ワインメーカーであるウェルス・ガスリーは〈ワインスペクテーター〉でテイスティング・コーディネーターしていたときローヌ品種のワインに目覚めます。ワイン造りの道に進みたいと会社を退社し単身フランス・北ローヌへ。ローヌの雄と言われるM.シャプティエ社に入り、社長で醸造家でもあるミッシェル・シャプティエ氏から2年間ぶどうとワインについての教えを受けました。ガスリーはシャプティエ氏が推進していたバイオダイナミック(有機栽培)の影響を強く受け、さらに偉大な醸造家として名高いジャン・ルイ・シャーヴ氏にもワイン造りを学び、アメリカに帰国しました。
帰国後はターリー・ワイナリーに入り、その後シリコンバレーでエンジニアとして働いていたケヴィン・マックオンが資金面を担当、ガスリーがワイン造りを担当して1999年に〈コパン・ワイナリー〉と〈コパン・カスタム・クラッシュ〉を設立、素晴らしいワインを次々と生み出しています。
畑とぶどうに対するこだわり
ガスリーは、北はメンドシーノから南はサンタバーバラまで、土壌と気候をくまなく調べてまわり、ここぞという16の畑のブドウを使ってワインを造っています。畑はすべてオーガニック。バイオダイナミックを学んだガスリーのこだわりです。
ブドウはほぼピノ・ノワールとシラーで占められており、割合は半々。畑はソノマ郡のロシアン・リヴァーヴァレーにありますが、植える苗木は全てサンタバーバラ郡の南海岸地区とメンドシーノ郡のアンダーソン・ヴァレーのものをわざわざ移植しています。自分の作りたいワインができるのはロシアンリバーよりさらに涼しいアンダーソンヴァレーのブドウだ、というガスリーのこだわりなのです。
シラーはローヌヴァレーに近い土壌の畑を選んでいますが、特に注目すべきはパソ・ロブレスの〈ジェームズベリーヴィンヤード〉。ここはシラーで有名な〈サクソン〉の自社畑で、〈サクソン〉のジャスティン・スミスはこの畑のブドウから造ったワインで、ワイン評論家ロバート・パーカーの採点100点をたたきだしました。パーカーは「ガスリーの作り出すワインは同じブドウを使っていても、サクソンのワインとは対極にある」と言っています。〈サクソン〉のワインが果実味たっぷりでアルコール度も高いワインであるのに対し、〈コパン〉のワインは酸のしっかりした、エレガントかつ繊細で、ブドウ品種に忠実なワインなのです。ロバート・パーカーはコパンのワインにも高得点の97点をつけています。
流通に乗らない希少なワイン
〈コパン〉のワインはそのほとんどがシングルヴィンヤード(単一畑)。各150〜400ケース程度と極少量生産なので、ワイナリーのテイスティングルームと顧客への販売でほぼ売り切ってしまい、流通にはほとんど出ていません。ガスリーが造りだすワインはピノ・ノワールとローヌ品種のみで、洗練されたクラシックスタイル。どれもバランスがよく取れていますので是非お試しください。